野菜クズ堆肥
1.はじめに
菜園からでる野菜クズや雑草などの刈り草を使った堆肥作りの紹介です。野菜クズは収穫を終えて畑やプランタから引き抜いた茎や葉、刈り草は庭に生えている雑草などです。
・本記事は2005年8月作成時の記録です
・落ち葉堆肥やもみがら堆肥も同じやり方で作れます
2.手順
(1)材料の準備
今回の堆肥材料は以下の通りです。
野菜クズ・・・ニンニク、タマネギ、ジャガイモ、エダマメ
刈り草・・・・庭の雑草の茎や葉
総量・・・・・緑色のトロ箱(50×80×20cm)に山盛り一杯
(2)材料の切断
十分に乾燥後、植木ハサミで10cmぐらいにカットします。分解を早めるためです。
(3)吸水
[発酵の必要条件]
・約60%の水分
・酸素
・分解の主役である微生物のエサとなる資材
この中でポイントとなるのは水分。少なすぎると発酵しませんし、多すぎると腐敗と悪臭の原因になります。本やネットでは多くが60%を推奨していますが、経験的には次の方法で大体うまく行きます。
・材料を数時間から丸1日程度水に浸し、十分に吸水させる(写真)
・容器を傾けて水を十分に流し出す
これだけです。実際にやってみると水分が多い感じがしますが乾燥した米ぬかを入れるとちょうど良くなります。
(4)発酵材料の投入
いよいよ米ぬかを投入します。今回は野菜クズなど約80リットルに対して以下の分量を入れました。
・米ぬか 2kg
・コーラン 200g
コーランは市販の発酵促進剤です。入れた方が発酵が活発化しますが必須ではありません。
米ぬか投入前
米ぬか投入後
(5)セッティング
雨があたらない軒下などに積み上げます。土の上に直接置くのが成功の秘訣です。腐敗と悪臭は過剰な水分が主原因ですが、土の上だと余分な水分が地中に抜けるため、失敗が少なくなります。
雨よけのビニールを被せておきます。
(6)温度チェック
発酵が始まると発酵熱で温度上昇します。今回は24時間後で50℃程度。材料の質や量によって差が出ますが、経験的には1から3日以内に50℃を越えます。
堆肥温度で発酵が順調かどうかの判断が出来ますので、温度計の入手をお勧めします。
以下、温度が上がらない原因をいくつか紹介します。
・水分過多
水分が多過ぎると発酵が進まず温度上昇もしません。特にプラスチック容器や発砲スチロールなどで作る場合は余分な水分が底に溜まるので注意が必要です。
・水分不足
吸水が不十分だと発酵が進まないことがあります。本やネットでは「堆肥材料に米ぬかをまき水を加えるという作業をサンドイッチ状に繰り返す」という方法がよく紹介されていますが、材料が水に馴染むまで時間がかかることがあり、経験的には「(3)吸水」をした方が確実です。
・米ぬか不足
米ぬかは微生物のエサなので、これが少ないと発酵がなかなか進まず温度上昇も小さくなります。経験的には多目に加えた時の方が上手く行っています。
・酸素不足
ビニール袋や発砲スチロール箱を用いる場合、穴を開けるなど通気性を改善しないと酸素不足になります。また「(7)切り替えし」を怠ると、高温状態が持続しないことがあります。
(7)切り返し
温度が60℃程度まで上昇した後に30、40℃まで低下した頃、1回目の切り返しを行います。切り返しとは全体をかき混ぜる作業です。酸素供給と発酵の均一化が目的。
切り返しを行うと翌日には再び温度上昇しますが、堆肥が出来上がってくるにつれ上昇しなくなってきます。
切り返しの頻度と回数ですが、私の場合、1、2週間に一度のペースで合計5、6回行っていますが、特に決めておらず適当です。
高温状態が数日間続くと水分の蒸発によって堆肥が「カラカラ」に乾燥することがあります。切り替えし2、3回目ぐらいまでは「開始時の状態」と比較して水分不足と感じる場合は加水した方がよいでしょう。
(8)熟成
切り返しを行っても温度上昇しなくなったら一次発酵は終了です。続いて二次発酵(熟成期間)に入ります。
一次発酵では糸状菌や放線菌によって、脂肪、炭水化物、たんぱく質などが分解され、分解されずに残った繊維組織が二次発酵で分解されるようです。
二次発酵中は2、3週間に一度切り返しを行い、腐敗臭がせず正常な状態であることを確認します。
(9)完成
切り返しても温度上昇しなくなってから1ヶ月経過すれば完成でよいと思います。
私の目安は、
・土のいい香りがすること
・腐った匂い、悪臭がしないこと
・見た目が十分に黒っぽいこと(材料にもよりますが・・・)
・ミミズなどの小動物がいること
長い期間をかけて発酵させた方が良いですが、60℃程度の高温期を過ぎ、切り返しを5、6回行い、その間、悪臭がなければ、トータル2ヶ月ぐらいで完成としても経験的には問題無いです。
畑に施す時、土とよく混ぜ合わせ、2週間程度経ってから種や苗の植え付けをすれば、この間に不完全部分が土の微生物によって分解されるためより確実です。